金属部品の軽量化と樹脂化のポイント

2026.08.05 技術コラム
5de60d2407916960ba79fc09e240aa0e

近年、自動車、産業機器、医療機器、電子機器などさまざまな分野で、金属部品を樹脂部品へ置き換える「樹脂化」の検討が進んでいます。樹脂化の目的は単なる軽量化だけではありません。コスト削減や設計自由度の向上、部品点数の削減、電気絶縁性の確保など、多くのメリットが期待できます。
一方で、金属と樹脂では材料特性が大きく異なるため、設計段階から考慮すべきポイントも存在します。
本記事では、金属部品を樹脂化する際のメリットや材料選定の考え方、設計上の注意点について解説します。

<目次>

 

1. 樹脂化によって得られるメリット

金属部品を樹脂へ置き換える最大のメリットは軽量化です。一般的な樹脂の比重は1.0~1.5程度であり、
鉄(約7.8)やアルミニウム(約2.7)と比較すると大幅な軽量化が可能です。また、樹脂化には軽量化以外にもさまざまなメリットがあります。

■主なメリット
・軽量化による製品性能向上
・射出成形による量産コスト削減
・部品の一体化による組立工数削減
・自由度の高い形状設計
・着色による意匠性向上
・電気絶縁性の付与
・耐薬品性の向上
・防錆性の向上

特に近年は、複数部品を一体成形することで部品点数を削減し、製造コストや組立工数を低減する設計が増えています。

f132bbe0678327bf134537e6406505ea

 

2. 樹脂材料の選定ポイント

樹脂には非常に多くの種類があり、使用環境や要求性能によって最適な材料は異なります。
代表的な検討項目としては以下が挙げられます。

■機械的特性
・強度
・剛性
・耐衝撃性
・耐摩耗性

■熱的特性
・耐熱温度
・熱変形温度

■電気特性
・絶縁性
・誘電率

■環境特性
・耐候性
・耐薬品性
・耐湿性

代表的な材料として、
・ABS
・PC(ポリカーボネート)
・POM
・PA(ナイロン)
・PPS
・PEEK

などがあり、用途に応じて選定されます。
近年はガラス繊維や炭素繊維を配合した高機能材料も増えており、従来は金属でしか実現できなかった用途にも樹脂が採用されています。

8ccdf526d0c0be6d223597ab136ad3f4

 

3. 樹脂化における注意点

樹脂化を検討する際に最も注意したいのが、金属と樹脂の材料特性の違いです。
金属部品の図面をそのまま樹脂へ置き換えると、期待した性能が得られない場合があります。

■寸法精度
樹脂は温度や湿度の影響を受けやすく、吸湿や熱膨張による寸法変化が発生します。また、成形収縮や反りの影響も受けるため、金属と同等の寸法公差を設定すると製造が難しくなる場合があります。

■反り・ねじれ
ガラス繊維強化樹脂(PA66-GFなど)は高い強度を持つ一方で、形状によっては反りやねじれが発生することがあります。そのため、材料選定だけでなく製品形状の検討も重要です。

■コスト
樹脂化によって必ずしもコストが下がるとは限りません。試作段階では切削加工や3Dプリンターを使用するため、材料によっては金属より高額になる場合があります。また、PEEKやPPSなどのスーパーエンプラは材料価格が高く、加工コストも上昇する傾向があります。

まとめ

金属部品の樹脂化は、軽量化やコスト削減だけでなく、設計自由度の向上や部品点数削減など多くのメリットがあります。
一方で、樹脂特有の寸法変化や反り、材料選定など、金属部品とは異なる設計上の配慮が必要です。
そのため、量産を前提とした製品開発では、実際の材料を用いた試作評価を行いながら最適な構造や材料を検討することが重要です。
南デザインでは、切削加工、真空注型、簡易金型による射出成形など、樹脂化検討に必要な試作製作をサポートしております。金属部品の樹脂化をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
d6a59107e61411f3edb9685fff837c45

 

 

一覧へ戻る